少年系animeで格闘ものの第一号はなんですか。『BLEACH』『NARUTO』『D.Gray-man』を典型に、熱血主人公が延々と敵とバトルするanimeは今では一ジャンルをなしていますが、昔からこうだったのですか。少年系animeで格闘ものの最初期の作品といえば『北斗の拳』や『ドラゴンボール』(天下一武道会編以後の)や『聖闘士星矢』がありますが、ああいうのはもっと前からあるんじゃないかな、と。
格闘技とanimeの関係はそれこそanimeの歩みとほぼ同じくらい昔から続いています。忍者が主人公の『少年忍者風のフジ丸』(’64年)、『サスケ』(’68年)、『忍風カムイ外伝』は格闘技が主題になったanimeの古典です。しかしこれらの番組は格闘技が描かれたとはいっても主人公にとってはあくまで生き残るための術(すべ)としてでした。一対一の格闘がメインになることはなくて、勝つたびにより強い敵が現れるとか大接戦を通しての男のドラマが盛り上がるといった展開もありませんでした。
もうひとつ指摘すると、格闘技や対戦ものはanime史初期にはスポーツものかスポーツが絡んでくる話が主流でした。異世界大冒険ものはマイナーだったのです。プロレスものの『タイガーマスク』(’69年)、キックボクシングの王者・沢村忠を主人公にした『キックの鬼』(’70年)、空手名人・大山倍達の半生を描いた『空手バカ一代』(’73年)等がそうです。
少年系格闘animeとはっきり分類できる最初のanime番組はおそらくタツノコ制作の『紅三四郎』(日本国外では『ジュウドウ・ボーイ』の題で放映)です。オートバイでさすらう若き柔道家・紅三四郎が主人公のanimeで、彼は自分の父親を殺した格闘家を見つけ出すために旅を続ける中、いろいろな格闘家や敵と対決します。ただ『紅』はあくまで例外であり、あれがきっかけで少年格闘ものがジャンルとして確立するとか模倣作がいくつも出るといったことはありませんでした。
’84年の『北斗の拳』が今でも伝説である理由はいろいろあるのですが、少年格闘ものの開祖だったからという理由もあるように思います。『ドラゴンボール』『魁!!男塾』『聖闘士星矢』『真拳伝説タイトロード』『幽遊白書』『烈火の炎』『筋肉番付 金剛くんの大冒険!』『影技 SHADOW SKILL』『史上最強の弟子ケンイチ』『家庭教師ヒットマンREBORN!』等のさきがけとなったのが『北斗』でした。スポ根ものではなく、むしろブルース・リー(とジョージ・ミラーが’81年に監督した『マッドマックス2』)の影響が濃厚な格闘技もの、それが『北斗』です。格闘とともにほとばしる熱いマッチョイズムを売りにする新ジャンルを打ち立てた記念碑的作品です。あれ以前につくられた格闘技もののどれよりも長いながい人気シリーズとして人気を博しただけでなく、これまた何年も続いた『ドラゴンボール』や『星矢』に代表される格闘技アドベンチャーものの草分けにもなった番組です。少年格闘技もののanime第一号は『紅三四郎』だとしても、『NARUTO』や『ONE PIECE』のような長く続いて物語も入り組んだ少年向け格闘大冒険ものの始祖はやはり『北斗の拳』であると思われます。
2008年6月13日金曜日
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