2008年5月27日火曜日

naruto_shippuden_movie_kakashi

今回のnarutoshippudenの新作movieのオンエア前に前作のmovieについて振り返りたいと考えました。前作のmovieは、沈痛な雰囲気のシーンが多い中、絵にも台詞にも、笑えるような小ネタがあちこちに仕込まれていて、その緩急のバランスが絶妙だったと思われます。例えば、オープニングシーンがあれだけおどろおどろしい一方で、ラストシーンのあの軽やかさというか、軽さというか(笑)。満面の笑顔のnarutoが最後の台詞を言った直後、すぐ暗転して、「○○○○」の平仮名4文字が、スクリーンにポンと出てくるんですからね。「昔の紙芝居かー!」と思ってしまいました。(笑)。コミカルなシーンが比較的多かった「アニマル騒動」でさえ、もうちょっと勿体つけた終わり方をしてた気がします(笑)。でも、それが全然しっくり来ない感じじゃないんですよね。他にも、「忍者たちに招集がかかり、木ノ葉の里が浮き足立っている中、通りに立っている小さい女の子をnarutoが助けてあげたはいいけど、その後がアレだった」というシーンとか、「リーが、ガイからもらった“秘薬”を服用した後、ああなっちゃった」というシーンとか……最初から最後まで、ちょうどいいインターバルで、そういうシーンがありました。全体を通して、「はー、凝った作りの作品」と思ったポイントがいくつかあります。そのうちの一つが、narutoの台詞です。narutoは、序盤や中盤で紫苑に言った台詞を、終盤のクライマックスで、語調をガラッと変えて、もう一度言っているんです。例えば、narutoと紫苑が出会ってすぐ、narutoが紫苑に「お前は死ぬ」という予知を聞かされた時に言った、「はあ、何だって!? 聞こえねえ!」という台詞。沼の国の祠に向かう途中で、わがままばかり言う紫苑をnarutoが怒鳴りつけた時の、「このバカ巫女!」という台詞。足穂が紫苑の身代わりになって死んだ直後、紫苑がnarutoに「近しい者の死を悲しく思わない者があるか!」「でも、巫女である自分は、他人を犠牲にして生き続けるしかない」と涙ながらに言った後に、narutoが静かに問いかけた、「お前はそれでいいのかよ?」という台詞。あれらの台詞って全部、ラスト近くで、narutoが“魍魎”に螺旋丸をぶつける前、死のうとしていた紫苑を抱えながら叫んだ台詞の中に、多少のアレンジをされながら、織り込まれてるんです。「このバカ巫女! 目を開けろ! 息をしろ!見えるか!? 聞こえるか!?お前の心は何て言ってる!?死にてえんだな!? このまま消えてなくなりてえんだな!?(紫苑、小声で何か言う)聞こえねえ! 自分の言葉で、言ってみろ!」ここでの竹内順子の演技も素晴らしかったですが、それと同じくらい、あの台詞には序盤からのnarutoの姿勢が凝縮されていたため、台詞そのものに重厚と強さがあった、ってことも、あのシーンが圧倒的な迫力を持った理由でしょう。今回の「narutoがヒロインを守る」という設定は、第1作目の映画「雪姫」と似ています。「雪姫」のヒロインの映画女優・富士風雪絵は、「雪の国へは行かない!」の一点張りで、雪の国へ向かうロケ隊から何度も逃げ出そうとするのを、narutoがそのたび探し出して連れ戻していました。今回のヒロイン紫苑は、「沼の国へは行かない!」とは言わないし、逃げ出そうともしませんが、「つらい思いをし過ぎてきたため、自分の人生を諦めていて、希望を持てないでいる」という意味では、雪絵と重なる部分があります。ただ、narutoとヒロインの関係が、「雪姫」と今回とでは、微妙に違うんですね。「雪姫」では、「narutoは何度も、逃げ出そうとする雪絵の背中を捜し、追いかけ、腕をつかんでぐいぐい連れ戻した。雪絵は、narutoに引っ張られているうちに、自分自身で歩こうと決心し、narutoが手を離してももう逃げることはなくなり、進むべき道を、自分の足で歩き出した」感じでした。(だからnarutoは、「もう、自分は雪絵には必要ない。この任務での自分の役目は、完全に終わったんだ」とわかった時、満足そうながらもちょっと寂しそうな顔を、一瞬ですが見せたんだと思われます。)それに対して今回は、「紫苑は、逃げ出そうとはしないものの、narutoの1歩か2歩後をとぼとぼ歩いているだけだった。しかし、narutoの背を見ているうちに、narutoに追いつこうとし、横に並ぼうとし、やがて並んで歩き、走り出せるまでに至った」という印象を受けました。実際、今回のmovieって、narutoの背中、後姿、横顔、斜め後ろからのアングルの顔などが頻出していた気がします。narutoと紫苑が祠に辿り着く直前の、湖のほとりの一連のシーンなんて、まさにその典型。narutoが額当てを締め直す前の、頭を左右に振った時の、斜め後ろからの顔。真正面から近づいてくるnarutoを正視できず、反対方向を向いてしまう紫苑。「作戦がある! 今度は上手くいくってばよ!」と言って、親指を立てた左手を真横に伸ばし、紫苑に背を向けたまま振り返るnaruto。3年の間にnarutoは、口から発する言葉と同じくらいの説得力をもって、背中や横顔でも、相手を説得できる人間に、相手を変えることができる人に、成長していたんです。ラストシーンでは、narutoに抱えられていた紫苑が「降ろしてくれ」と言い、そして2人並んで立って、山の彼方を見つめる、というところで映画は締め括られますが、あのラストシーンは、「紫苑がnarutoに追いつき、隣に並ぶまでになれた」ってことを象徴している気がします。ラストシーンといえば、紫苑がnarutoに「力を貸さぬか?」と言った時、kakashi、rie、sakuraが「ええっ!?」という顔をしていましたが、kakashiが登場した数少ないシーンの中で、登場する必然性がいちばんあったのも、いちばん自然な登場だったのも、あのシーンだった気が……。そう思って遡ってみると、それ以前のkakashiの登場シーンってすべて、「ラストシーンでのあの登場が唐突な印象を与えないように、随所随所に適度に出しておけ」という指示のもと、姿も台詞も配置されていたように思えてならないのですが。だって、あの場面での大人の驚き要員としては、kakashi以上の人材っていない気がしませんか?。えーと、ここは(kakashiに)好意的に解釈して、「大人の仲間たちと前線の任務に就きながら、最後はnarutoのピンチに駆けつけ、敵に雷切を食らわす、元暗部で、上忍で、天才忍者であるkakashi」と、「紫苑のあの台詞にいち早く食いつくkakashi」という二面性が、あれだけ少ない出番でよくあんなに良く現れていた。と思うことにしましょう。あれっ、全体の印象をざっと書くだけのつもりだったのに、長くなってしまった。。しかも、まだ続いちゃうよ(笑)。

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